「当用漢字」「現代かなづかい」の公布

 1946年9月21日、主査委員会により制定された「現代かなづかい」は国語審議会第11回総会に提出され、過半数の賛成を得て可決・答申。さらに同年11月5日には「当用漢字表」1850字が国語審議会第12回総会に提出され、こちらも過半数の賛成を得て可決・答申された。そして早くも同月16日、「当用漢字表」と「現代かなづかい」は内閣総理大臣吉田茂の名前で内閣訓令・告示公布されたのである。

 かくして文部省、国語審議会積年の悲願であった国語改革は、敗戦直後の進歩主義的風潮、そして占領軍の後押しという絶妙のタイミングがあいまって、初めて「国策」として日の目を見たわけである。ただ、前述の通り彼等は日本語の全面的な音標文字化(漢字全廃)を最終目標に掲げていたわけで、彼等にとって「当用漢字」とはその名の示す通り「当用」のものにしか過ぎず、この先の長い道筋における一里塚でしかないという認識であった。