「当用漢字」「現代かなづかい」の制定

 漢字主査委員会は前述の通り「標準漢字表」2528字の再検討を行った。1945年12月17日から翌年4月8日までの間に14回の会議が開かれ、そのなかで「標準漢字表」2528字を1295字にまで縮減、これを「当用漢字」として決議発表した。「当用漢字」では、使用頻度の低いとされた漢字が徹底的に排除され、公式文書やメディアなどで用いるべき漢字の範囲が示された。

 以下は同時に発表された教科書局長有光次郎の談話である。

『頻度数を標準にして選定したもので字画の難易には関係なく、その意味で完璧なものではない、国語の仮名書化ローマ字化なども前提として美しい耳だけでわかる日本語を完成せねばなるまい、いづれにせよ国語のゆくべき方向へこの1295字はまづ数の第一次制限を果たした点では大きく一歩前進したのである。 』

 しかしその後、無理な漢字制限は実行できないという意見があがったため、委員会内で18人編成の小委員会を組織し、その中でこれを再検討することとなった。この委員会は1946年6月4日から同年10月16日までに23回の会議を開き、最終的に当用漢字1850字を選定した。

 また現代仮名主査委員会は、1946年6月11日から同年9月11日までに12回の会議を開き、「現代かなづかい」を制定した。今日我々が日常的に使用しているかなづかいはほぼこれに準拠している。